狂気
終戦の日から今年は64年目を迎えた。戦争はあってならないこと、二度とくり返されてはならない。そんな悲惨な戦争をくぐり抜けて、なんとか生き残った人たちもすでに高齢であり、多くの人たちが世を去っている。
まだ子どもだったから、記憶も断片的であるけど、その頃が戦争の時代であったことだけは幼ごころに焼きついている。防空壕に逃げ込んだ時のことや、空襲を受けて夜空が赤々と燃えていたり、サーチライトに照らされた飛行機の影など、鮮明に記憶に残っている。
ある人が初めから終わりまで、涙なしには読めなかったと言っていた、「永遠の0」という本を読んだ。戦場で戦う特攻の飛行士たちのことを書いている。涙は出なかったけど、ストーリーとしてもよくできていて、最後の主人公の死が壮絶である。
孫である兄姉が、若くして死んだ特攻隊員だった祖父のことを、生き残りの隊員たちを訪ねて調べていく。相当の臆病者で、特攻の恥さらしだったと言う人もいる。新婚の妻と子どもの写真を肌身離さず、必ず生きて帰ると周りにも話している。
聞き取りを進めていくうちに、戦場での様子がだんだんと明らかになっていく。パイロットの腕は抜群で、戦闘で同僚が死んでいく中でも、危険を避けて無傷で帰還することもある。無為に死にたくないのである。それでいて同僚や部下のためには、勇敢に上官にたてつくこともある。
戦況は激しさを加え、出撃した戦闘機もほとんどが帰還することがない。敵艦に玉砕するために飛び立つが、それもかなわずに撃ち落とされていく。主人公はついには、自分だけが生き残ることに耐えられず、あえて志願して最後の零戦に乗る。終戦を目の前にして。
出撃を前に部下と飛行機を取り替える。敵の攻撃を避けて、水面すれすれに飛んでいくが、それでも機体は銃撃を受けてボロボロである。ついには敵艦の真上に上昇する。そしてお尻から落ちる。しかし搭載の爆弾は不発だった。敵兵の証言である。
その部下は不時着して助かっている。のちに戦後、この部下が主人公の妻と結婚する。聞き取り調査の最後の最後に行きついたのが、自分たちの義理の祖父であったことに、あ然とするという筋書きである。
無残に死んでいくことが分かりながら、前途ある若者たちをまるで虫けらのように、あえて戦場に送り出す軍部の狂気に憤りを覚える。生きるためにパラシュートで脱出したり、捕虜になることも屈辱としない、相手国といのちの軽重の落差もいちじるしい。
今もなにかと日の丸だとか、平和憲法をどうのと言い出す人がいる。戦争を美化することがあっても、そこには、国民を犠牲にして狂気の戦争を推進したことの、改しゅんが全くない。恐ろしい凄惨な戦争をなお、語り継がれなければならないのだろう。
それなのに戦争ごっこでよく遊び
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